いよいよ2020年から小学校でのプログラミング必修化、次いで2021年から中学校での必修化が始まりました。
しかし、プログラミング教育と聞いても具体的にどんなことを勉強するのか、
それを学んで何を目指すのか、そもそもプログラミングとは?
わからないことが沢山ありますよね。
この記事ではそんな疑問や不安に子供にも説明できるくらい簡単な言葉でお答えします。
この記事のポイント
- プログラミングとはコンピューターがわかる言葉でしてもらいたいことを書き出すこと
- プログラミング教育は「順序だてて物事を考える力(論理的思考力)」を養うことが目的
- 小学校では「プログラミング」という授業が始まるわけではない
それでは早速見ていきましょう。
そもそもプログラミングとはどんなこと?子供にもわかる言葉で説明
プログラミングとは、簡単に言うと「コンピューターに、コンピューターが理解できる言葉で、何をしてほしいかを伝えること」です。
人は自分で考えて物事を判断することができますが、コンピューターはそれが出来ません。
なので、してほしいと思ったことをコンピューターに正しくやってもらうには、どういう順番で何をすれば良いのかを一つ一つ教えてあげる必要があります。
たとえば、ロボット(コンピューター)に棚の上段にあるリンゴを取ってほしいと思ったとします。
人にお願いする時は、「棚からリンゴを持ってきて」と頼むだけで持ってきてもらうことができるでしょう。
しかし、ロボットにお願いする時はその言い方では足りません。
「棚の前に移動して、右手を上に挙げて、リンゴを掴んで、掴んだまま手を下ろして、こちら向きに方向転換して、ここまで戻って来て、右手を差し出して、リンゴを離してください」
これほど細かく指示してあげないと、ロボットは棚からリンゴを持ってくることすらできないのです。
しかも、人間の言葉は通じませんので、プログラム言語と呼ばれるコンピューターの言葉でそれを伝えなければなりません。
ちなみにプログラミング言語にはたくさんの種類があり、大人が実際のプログラミングに使うものと子供が学習用に使うものは別物になります。
プログラミング教育とは何を学ぶの?目指すはIT企業?
では、小学校で必修化したプログラミング教育は、全員がプログラミングのプロになることが目的なのでしょうか?
実はそうではなく、プログラミング教育を通して子供たちに学んでほしいことは以下の2つとされています。
- 受け身ではなく、積極的にコンピューターを活用する力を身に着ける
- プログラミング思考(論理的思考)力を養う
もう少し簡単に説明すると、
1つ目は早くからコンピューターに慣れて上手に使えるようになりましょうということです。
今の子供たちが生きる未来では必須アイテムのコンピューターを自分でちゃんと使えるように小学生のうちから学んでいきましょう。
2つ目は、先ほどお話ししたように、コンピューターに指示を与えるには1つ1つ順番にやることを説明していくことが必要です。
このように「目的を達成するためには何をすべきか」を順序だてて考えることができる力、それがプログラミング思考です。
具体的にどんな授業内容なの?科目が増えるの?
必修化と言われると、国語・算数・理科・社会・プログラミング というように教科が増えるような印象を持った方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、小学校における必修化はそうではなく、これまであった教科にプログラミング教育を取り入れる形で進められます。
例えば、文科省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」には「プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(5年・算数)」が示されています。
ただ、具体的にどの教科でどうやって取り入れるかはそれぞれの学校で決めることになっていますので一概にこんな授業になるよ!とは言えないのです。
プログラミング教育の必修化に課題はあるの?
ついに始まった必修化ですが、実はまだ課題が残っているのが実情です。
課題は色々ありますが、大きく3つのことが挙げられます。
- 環境整備
- 先生の知識やスキル
- 都道府県や学校間の格差
自分の子供が学ぶことに課題があると言われると心配ですよね。
具体的にどういうことなのか、ここから1つずつ見ていきましょう。
1.環境整備
文科省では小中学校の生徒一人一人にタブレット端末が行き渡るよう環境整備を進めています。
元々は2023年に整備完了を目指すと計画していましたが、コロナ禍において遠隔で授業が受けられる必要性が高まったため2020年度に計画を前倒しして進めています。
この取り組みでほとんどの学校で一人一台の端末支給が実現しつつありますが、まだ全国共通で完璧な状態とは言えないのが現状です。
2.先生の知識やスキル
先ほども少しお話ししましたように、どうやってプログラミングを授業に取り入れていくかは各学校が決めることになっています。
そして、これまでプログラミングを教えたことがない先生たちが授業を行うのです。
このような状況ですので、先生や保護者から不安の声が上がっていました。
そこで、その不安を取り除くために「未来の学びコンソーシアム」という組織が設立されました。
文科省・総務省・経産省が連携して、学校関係者や自治体関係者、企業などと共に設立した官民協働の組織です。
この組織のHPでは具体的な授業の例を紹介したり、先生に向けた冊子を発行して実際の授業をイメージできるような提案をしています。
とは言え、やはりプログラミングの専門ではない先生たちの不安は残ってしまっているのではないでしょうか。
3.都道府県や学校間の格差
これまで上げてきた課題からもわかるように、環境や先生のスキルなどが自治体・学校間で差があるのが現状です。
次の項目で説明しますが、この先中学校・高校・大学入試とどんどんプログラミングが必要となってきます。
そんな中で小学校のプログラミング教育の質に差が出てしまうのは、とても大きな問題です。
プログラミング教育を進めていく中でこの課題は少しずつ解消されていくはずですが、今まさに必修化が始まった小学生たちは、それを待っているわけにはいきません。
もし、自分の学校の授業だけでは心配・物足りない、あるいはよくわからないといったことがある場合は、プログラミング教室や家庭でできる教材も多く出てき始めていますので検討してみてはいかがでしょうか。
小学校だけじゃない!中学校、高校、大学入試でもプログラミング教育がはじまります
小学校より先の教育現場においてもこの先どんどんプログラミング教育が始まっていく計画が進められています。
中学校での必修化は2021年月から既に始まっています。
2022年には高校で必須科目として「情報Ⅰ」が新設され、2025年(2024年度)の大学入試からは「情報」が科目に加わる予定です。
ずっと学び続けることになるプログラミング、できるだけ早くから慣れておきたいですね。
まとめ
小学校で始まったプログラミングの必修化について説明してきました。
プログラミングと聞くと難しそうでとっつきにくい印象を持ってしまう方も多いかもしれませんが、コンピューターを理解して上手に活用できるようになろう!ということだと考えればそれほど怖いものではありません。
ぜひプログラミング教育を通じて、将来役立つ力を身につけましょう。
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